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とらのあなに色々と委託中です。ウィルグラ再録本ウィルグラ本ベアトリクス乱交本

2016年9月16日金曜日

ビィくんとはんぶんこ

 時は夜中。
 夕食と諸々の業務を済ませた後、グランはウィルの部屋を訪れていた。ウィルに呼び出されたのだ。
「ホワイトデーのお返しだよ。食べたら、是非感想を。あと、ビィ君の分も渡して貰えるかな?」
そう言って、ウィルからプレゼントの箱を受け取ったグランは、自室で丁寧に包装を解く。中からはピンク色のマカロンが姿を現した。本人いわく手作りという話だ。
「感想ちょうだいって言われてるんだよね」
ビィが怯みながらグランを見る。
「あの兄ちゃんからの手作りお菓子かよぉ。変な物入ってねぇだろうな?」
「僕も同じものを貰ってるから、それはないんじゃないかな」
「グラン、一緒に食べてくんねぇか?」
グランは怖じ気づいているビィに笑いかける。
「臆病だなぁ。いいよ」
そして、マカロンを半分に割ると、半分をビィに差し出す。もう片方はグラン自身の口に。
「んっ、ビィ、これリンゴ味だよ」
「本当かぁ? それじゃ食べようかな」
ビィは半月型のマカロンにかぶりつく。
 そして、二人同時に床の上に崩れ落ち、昏睡した。グランが着ているオーガの衣装の、腕に嵌められた鎖が、床と擦れてじゃらりと鳴った。
『反応が楽しみだなぁ』
泥のように心身を沈める眠気の中で、そんなウィルの言葉を、グランは思い出した。


 軽いノックの後、部屋の中の反応がないことを確認して、ウィルは針金を鍵穴に差し込んで錠をこじ開けると、グランの部屋に侵入した。
 この技術も、睡眠薬の製薬も、かつての裏稼業の暗殺で身に付けた技だが、グランはそんなスキルをウィルが持っていることを知らない。
 ウィルは床に落ちているビィを抱き上げ、愛おしそうに頬ずりを始める。
「ああ……ビィ君、愛らしい……この世が生みだした奇跡だよ」
たっぷりの時間をかけて睡眠状態のビィを愛で、ウィルは鞄の中から二冊のノートを取り出す。
 その表紙には、それぞれ『ビィ君観察日記』『グラン観察日記』と銘打たれている。
ビィの身体をベッドに寝かせると、ウィルは次にメジャーを取り出し、ビィの頭囲とスリーサイズを図り、ノートに記入する。
 そこにはビィの今までの測定結果がずらりと並んでいる。ほぼ月に一回、本人には気付かれないように全て秘密裏に測ったものだ。
「ビィ君はサイズが変わらないねえ。もう成龍なんだねえ」
そうしみじみ言うと、ウィルは手袋の中指を咥えて両方の手袋を外す。ビィの耳に頬に顎お腹に、と裸の指先を這わせて感触を楽しむ。
 しばらくそうして、ウィルはビィをベッドの上に戻した。
 次に、床の上で寝ているグランを軽々とお姫様抱っこで抱き上げ、ベッドの上に横たわらせる。
露出したグランの胸板からお腹までをつぅっと指先でなぞる。グランは目を閉じたまま、僅かに身じろぎした。
 それにしても、とウィルはグランを見る。
「この服、露出度高すぎだよ。僕なんて首から上しか出してないのに。見習って欲しいものだね」
ウィルはベッドの上に上がり、体重をかけないように注意しながらグランの腰の上に跨がる。ベッドがぎしり、と軋んだ。
「こんな姿じゃ、変な虫が寄って来るじゃないか」
ウィルは背を屈めてグランに接吻をする。柔らかくて温かい唇の感触が伝わった。
 ウィルは片手をグランの頬に添えて、反対側の頬、首筋、鎖骨、とキスを落とし、成長途中の胸板に頬ずりする。そこはよく鍛えられていたが、まだまだ子供らしく未成熟な骨格をしていた。睡眠時の独特の高い体温がウィルの頬に伝わる。触れた箇所が熱い。
 次に、グランの服を脱がしにかかった。
 肩から手先までを包むガントレットを丁寧に外し、それらを繋ぐ鎖を慎重に扱いながら、音が立たないように床の上へと置く。両足を包むグリーブも同様だ。
 獣の皮でできたスカートとズボンも剥ぎ取り、グランを下着だけの姿にする。
 そして、ビィと同じく、裸の身体にメジャーを巻いて測定し、結果をノートに記入した。こちらも、過去の測定結果がずらりとページに並んでいる。
「君は成長期だねえ。順調だ」
ウィルはグランの胸筋から腹部、脇腹、腰骨を手のひらで撫で、下腹部のきわどい位置にキスをする。そこはちょうどオーガのスカートで隠れる部分だ。
 キスをした唇で、ちゅぷり、とグランの肌を吸う。二度、三度と吸い上げ、唇を離すと、皮膚には赤い跡がついた。
 そのまま下へと顔を移し、今度は太股の内側へと唇を寄せる。
 グランの肌からは汗の匂いがした。
 先ほどと同じようにキスマークを付ける。外から見えない位置に所有の証を付けると、ウィルはベッドから降りる。
 勝手知ったる人の家といった風に、戸棚を開けてグランの寝間着を取り出すと、慣れた手つきでグランに着せ始める。
 そして、脱がせたオーガの衣装は、いつもグランがしているように椅子の上へと置き、布の服は椅子の背にかける。
 ウィルは再びベットに上がると、添い寝よろしくグランの隣に寝そべる。
 スヤスヤと眠るグランの寝顔を愛おしそうに見詰め、頬を撫でる。
 ふと、グランがぱちりと目を開けた。ウィルの紫色の瞳と、グランの茶色の瞳が見つめ合う。
 ウィルはするりとグランの頭を撫で、耳元に口を寄せて、甘い声で呟いた。
「これは夢だよ。いい子だから、お休み」
「……」
グランは再び目を閉じて、規則正しい寝息を立て始める。
 それを確認して、ウィルはベッドから降り、グランの身体に毛布をかける。
 テーブルの傍に寄り、ウィルは鞄からマカロンを出す。それはグランとビィにあげたものと全く同じ外見をしている。こちらは至って普通のマカロンだ。
 最初に二人にあげた睡眠薬入りのマカロンと中身をすげ替えると、ウィルは部屋を出る。内鍵にして鍵を掛けることも忘れずに。
「それじゃ、また来月に、ね」
そう呟き、軽く鼻歌を歌いながら、ウィルは自分の部屋へと戻っていった。


 翌朝。
 目が覚めたビィとグランは、狐につままれたような気持ちでいた。
「僕、いつの間に寝ちゃったんだろう?」
「おいらもだ。全然記憶がねーぞ?」
ビィとグランは首を傾げて見合う。ビィが口を開いた。
「なぁなぁ、あのマカロンに何か仕込まれてたんじゃねーか? 睡眠薬とか」
「ううん……あんまり考えたくはないけど」グランは布団から出ると、ベッドから降りる。グランは寝間着姿でいて、いつもの場所にはオーガの服が掛かっている。
「でも、僕もビィも、布団で寝ていたよね。僕はちゃんと寝間着にも着替えてるし。疲れて寝ちゃったんじゃないかなあ?」
グランはテーブルの上に置きっぱなしのマカロンを手に取ると、口に放り込む。リンゴの香りと、甘い味が舌の上に広がる。
 ビィが慌てて言った。
「お、おい、グラン」
「僕を見てて。もしもこれで寝ちゃったら、ウィルのせいってことになるよね」
ところが、グランの身には何も起きなかった。
「……ウィルは関係なさそうだよ?」
「そぉかあ。一体、何で昨夜の記憶がねーんだろうな?」
グランは両手をあげてうーん、と伸びをする。
「僕、昨夜はぐっすり寝たみたい。すごく身体が軽いよ」
「それならいいんだけどよぉ」
ビィはまだ解せない顔でいる。
「まあ、いいんじゃないかな。朝ご飯、食べに行こうよ」
そう言ってオーガの服に着替えようとして、グランは下半身についた赤い点に気付く。
性知識の乏しいグランは、それがキスマークだとは知らない。
「あれ、虫に刺されたのかな」
「ほんとだ。大丈夫かぁ?」
「特に痛くも痒くもないけど、何だろうね」
充血したそこを指先でつつき、グランは首を傾げる。
「まあ、何ともないから多分大丈夫だよ。着替えて朝ご飯食べに行こう?」
グランはオーガの服に着替え、ビィと一緒に食堂に向かった。


【終わり】