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とらのあなに色々と委託中です。ウィルグラ再録本ウィルグラ本ベアトリクス乱交本

2016年5月16日月曜日

【グラウィル】Say so long

※注意
ウィルグラ前提で、もしも二人が別れて&再会したら〜的なifルート。



 その教会にグランがたどり着いたのは、もう夕刻だった。
 貿易で程よく栄えた港町。賑やかな都心の教会に、魔物の研究をしている変わり者の、でも優しくて親切な司祭がいると耳に挟んだ。
 魔物が好きなことは隠してないんだな、とグランは苦笑しながら戸を叩く。中から顔を出した、黒い聖服に金髪の男は、来訪者を見て眼鏡の奥の紫色の目を丸くした。
「グラン……?」
「お久しぶり、ウィル」
ウィルはグランを見上げる。
 会った当時は15歳だった少年は、今やウィルの背を追い抜き、鍛え抜いた身体はウィルに負けない体格をしていた。その表情からはあどけなさは消え、精悍な顔立ちに変わっていた。
「びっくりしたよ! 大きくなったねえ。まあ、入りなよ」
「うん」
グランはウィルの後に続く。高い天井に広い礼拝堂、祭壇の中心には巨大な十字架、隅にはパイプオルガン。グランが今まで見た中では一番大きな教会だった。
 その建物とは真逆に、清貧な作りのウィルの自室に入り、ウィルの淹れたお茶を受け取る。書き物机にベッドしかないその部屋は、グランサイファー号の狭い居室を連想させた。
「久し振りだねえ。もう3年になるかな」
「4年だよ」
「そんなにかい? 」
「そんなにだよ」
「時の流れは早いね。グランも大人になるわけだ」
ウィルは眩しそうにグランを見る。
 騎空士の頃、グランとウィルは付き合っていたが、2年で破局した。原因は、ウィルがグランとの約束を破って魔物と交わったことと、グランの心変わりだったが、お互いに熱が冷めていた頃で自然消滅の形に近く、そこに諍いはなかった。
 そのまま何事もなかったかのようにイスタルシアへの旅を終えると、ウィルは大量にこしらえた魔物観察日記とともに船を降りた。そして、この教会に腰を落ち着け、昔と同じように司祭として生活していた。
「それで、僕に何の用なんだい?」
ウィルはニコニコして本題に切り出す。
「ええと、特に用事はない、というか。顔を見に来たというか」
グランはウィルを見る。ウィルは、グランが懐かしさを覚える柔和な笑顔を浮かべている。それを見て、付き合っていた頃のことを思い出して少し甘酸っぱい気持ちになる。
「本当に、それだけかい?」
「ああ、えっと、その。僕、21歳になったんだ」
「それはおめでとう! 何か、プレゼントはいるかい? 魔物観察日記の写本はどうだい」
変わらぬ態度にグランは困りながらも安心し、こう告白した。
「お祝いに、ウィルが欲しい」
ウィルは押し黙り、思案顔でグランを見る。グランにからかいの色はない。
「それは、僕を抱きたいって?」
「そうだ」
「よりを戻したい訳でもなく、一夜限りの割り切った関係だよねぇ?」
「……駄目かな?」
「いやはや、グランもズルくなったねえ」
ウィルは怒らなかった。
「でもさあ、少し遅かったよ」
ウィルは肩をすくめる。
 もしかして、ほんの数日の差で、ウィルに恋人でもできたのか。そう思ったグランだったが、全く違う答えが返ってきた。
「今日は裏稼業の日なんだ。もう少し早く来てくれれば、相手できたんだけどなあ?」
「暗殺、再開したんだ?」
「そうだよお。それでさ、」
ウィルは一度言葉を切り、口を開く。
「裏稼業の後でなら、相手できるけど。それでいいかな?」
「勿論だよ」
グランは答えた。
 ウィルは満足そうに頷き、その日はグランと積もる話をしながら雑務を終え、夜を迎えて教会を閉めた。



 深夜。
 ザ・クロスを携え、ウィルは血の匂いをさせながら戻ってきた。
「体を洗ってくるよ」
すがすがしい顔をしたウィルは風呂場に直行し、身を清めると、ネグリジェのような白いワンピース姿で部屋に戻った。騎空士だったときに、いつも聖服の下に着込んでいたワンピース風の服だった。
 またもや懐かしい気持ちにグランは囚われる。
 ウィルはグランの腕の中にするりと飛び込んで、自ら唇を重ねる。これもお互いに懐かしい感触だった。
 離れていた時間を埋め合わせるように、二人は貪るようなディープキスをする。
 唇を離してウィルはグランを見る。
「びっくりしたよ。上手になったね」
「ウィルは変わらないなあ」
「キミしか知らないからねえ?」
グランはウィルを抱きしめた。
 裏稼業で鍛えられた、見た目に似合わぬがっしりした体躯。昔と変わらない体つきだった。ただ、今はグランの方が大きく、小さく感じた。
 それを抱き返しながら、ウィルは言う。
「何か悲しいことでもあったのかい? それとも、懺悔を聞こうか? 」
「……ありがとう。でも、いいよ」
グランはウィルをベッドに押し倒す。
 ふふっ、とウィルの頬が緩む。
「僕が下だなんて、不思議な感じだなあ」
その言葉を唇ごと塞ぎ、グランはワンピースをめくりあげると、首筋から鎖骨、胸へとキスを落とす。胸を愛撫するも、ウィルの反応は薄く、グランは予想通りの展開にひとり納得すると、そのまま下半身へと顔を寄せてウィル自身を口に含んだ。キスと同じように、こちらも貪るように吸い付く。
「……っは……」
焦りに似た喘ぎがウィルの口から漏れる。
「凄い。昔と全然違うじゃないか」
水音を立てながらそれを啜り、手で根元を思い切り扱くと、ウィルは堪らない様子で制止の声をあげる。
「っく……んう…んッ」
グランは構わずに愛撫を続け、しばらくそうした後、ウィルは苦しげな表情を浮かべてグランの口に精を吐き出した。グランはそれを飲み込む。
 荒い息をつくウィルの足を開かせると体を割り込ませ、グランは潤滑油を手に後孔を広げる。
 慣れてくると、ゆっくりと挿入してウィルと繋がった。ウィルの中は熱く、気持ちよかった。今まで逆のことしか知らなかったから、不思議な感じだった。嫌な感じはなく、むしろ興奮を覚えた。
 ウィルは苦しそうにしながらも、情欲の色を浮かべる。挿れられているのに慣れている様子だった。
「ウィル、恋人はいる? それとも、もう別れた?」
「馬鹿だなあ。キミしか知らない、って言っただろう? 魔物相手だよ」
「魔物とシてるんだ? 変態なのは変わらないんだね」
「人間で愛したのはキミだけだよ。多分、これからもね」
グランははっとして詫びた。ウィルは意に介さない様子でグランを急かす。
「そんなことより、さ」
「うん」
グランが動き始めると、ウィルはすぐに喘ぎ始めた。 一度も見たことのない雌の顔をしていて、グランの劣情は増し、ウィルの良いところを夢中で突いた。
「……っふ、ああ……ッ、んぅ……ッ」
ウィルは端正な顔を歪め、眼鏡の奥の瞳を潤ませながらグランを見る。グランは顔を寄せてキスをし、舌を絡ませた。
「……ッ、んっ……」
息苦しさを覚える中、ウィルが塞がれた唇から喘ぎを漏らす。
 上も下も繋がった身体は溶け合うような錯覚を起こし、グランは深く包み込まれている気持ちで絶頂を迎えた。ウィルはすでに何度も達していた。
 昔のように抱き合い、ウィルはグランの逞しい胸板に顔を埋め、呼吸を整える。
 汗だくの腕を回し、グランはそれを愛おしい気持ちで見つめた。
「……凄かった、よ」
ウィルはぼうっとした様子でグランを見上げる。
「処女を捧げて良かったよ。神よ、僕はこんな気持ちを一生知らずに死ぬところだった」
「大げさだなあ」
「それで、聞くけどさ。君の恋人はどうしたんだい?」
「別れたばかりだよ」
「馬鹿だなあ、早くお帰り。単なる喧嘩だろう」
「違うよ。本当に別れたんだってば」
「君には大意がある。彼と素敵な国を作るんだろう? こんなことしている場合じゃないと思うけど?」
「……」
「僕は聖職を務めて、裏で罪人を裁いて、趣味で魔物観察日記をつけている。身の丈にあった満足な毎日だよ」
ウィルは言葉を続ける。
「キミは大きな器の持ち主だ。それ故に迷うときもあるだろうけれど、自分の為すべきこと、為そうとした初心をちゃんと思い出して、その足でしっかり歩くんだ。それが、キミの務め」
グランは溜め息をついた。
 今の恋人と色々あって、グランは胸に穴が空いたような気持ちでいて、ウィルがここにいると知って訪れた。心の穴をウィルで埋めようとした。何て自分に都合がいい理由なんだろう。ずるいという自覚はある。
 それでもウィルは知ってて受け入れた。諭すようなウィルの言葉は胸に染みた。
「ウィル」
「何だい?」
「……ありがとう」
「当然さあ」
ウィルはするり、とグランの頭を撫でた。
 昔はお日様の匂いだったそれは、街の喧騒の匂いや酒場の食事の匂い、社交的な香水の匂い、と色々な顔を見せていた。
「迷ったら、いつでもおいで。でも、抱かれるのはこれが最初で最後だよ」
「うん」
二人はそんなことを話しながら夜更けに眠り、翌朝には別れた。

 いつでもおいで、とウィルは言ったものの、二人ともまた会う気は無かった。
 ウィルは教会の中へと戻る。教会に隣接した孤児院の子供達が、ウィル父さん、と呼び慕う声がグランの耳に届いた。

 グランは教会を離れて、ひとり港へと去った。

 ウィルに会えてよかった。
 グランは過去の自分を取り戻した気分だった。
 でも、今の自分はもう大人だ。過去には戻れないし、戻る気もない。今が一番大事だし、何よりもやるべきことがある。
 グランは拳を握りしめた。
 彼の元へ帰らねばならない。まずは謝って、建国を再開しよう。
 グランは振り返らずに心の中で別れの言葉を呟く。

 さようなら。
 もう二度と、会わない。